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ビジネス・経済活動と自然の関係

生物圏が提供する生態系や自然資本は、社会活動の基盤として欠かせない要素です。私たちの生活や経済は、自然がもたらす多様なサービスに大きく依存しており、これらがなければ持続的な発展は望めません。ここでは、ビジネスや経済活動が自然資本にどのように依存し、またどのようなインパクトを与えているのかを整理します。

自然資本とは、私たちの生活や経済活動を支える「自然由来の資本(ストック)」を指し、生物的資源だけでなく非生物的資源(土壌、鉱物、水、気体、太陽光など)が含まれます。自然資本によりもたらされる便益は、食料や水、木材などの「供給サービス」、気候調整や水質浄化といった「調整・維持サービス」、さらには精神的価値やレクリエーションの場をもたらす「文化的サービス」など多岐にわたります。こうした便益は「生態系サービス」や「 自然の恵み (Nature’s Contributions to People:NCP)」と呼ばれ、その恵みを享受して社会や経済が成り立っています。

経済学者のパーサ・ダスグプタによる「ダスグプタレビュー」では、全世界で提供される生態系サービスの経済的価値を年間約125兆ドルと見積もった研究事例も参照しており、これは世界のGDPの約1.5倍に相当します。さらに、経済活動における自然資本への依存は、世界のGDPの約50%(およそ44兆ドル)と見積もられ、私たちの社会活動には自然資本が不可欠であることを示しています。ビジネスは自然への依存のうえに成り立っており、特に農林漁業や鉱業/採石業、製造業は依存の程度が大きいとされています。例えば産業植林は木材資源そのものに依存しているほか、水資源の供給、樹木の健康的な育成のために必要な土壌の質、降水パターン、気候条件(気温や湿度など)の調整機能などに依存しています。生態系サービスの健全性は、企業の生産性や収益性に直接影響するといえるでしょう。

一方で、人間社会は自然資本に依存するだけでなく、その活動によって自然に大きなインパクトを与えています。産業植林を例に取ると、過度な森林伐採や非持続的な管理は、森林生態系の劣化や生物多様性の喪失、土壌浸食の増加、水資源の枯渇など、様々な負のインパクトを及ぼします。こうした負のインパクトにより生態系サービスが劣化・喪失すると、最終的には林業自体の持続性や他の産業への悪影響にもつながります。国連環境計画(United Nations Environment Programme:UNEP)によると、年間約7兆ドル、世界のGDPの約7%にも相当する公的・民間資金が森林破壊や化石燃料の利用拡大といった自然を直接劣化させる活動に流れ込んでいると推計されています。経済活動による自然への負のインパクトは生態系のバランスを崩し、私たちが享受する生態系サービスを脅かしています。

図
ビジネス・経済活動と自然の関係図
出典:
  • Dasgupta, P. (2021), The Economics of Biodiversity: The Dasgupta Review (London: HM Treasury). (2021.2)より MS&AD インターリスク総研が改変(Open Government Licence v3.0に準拠)
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