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自然の構成要素

自然環境は大気圏、水圏、地圏、生物圏など、複数の相互作用するシステムによって構成されています。ここでは、地球を覆う大気圏、流体として循環する水圏に焦点を当て、それぞれの性質と相互関係を整理します。

大気圏

大気圏は主に窒素(約78%)と酸素(約21%)で構成されており、その他にも微量の水蒸気や二酸化炭素、エアロゾル(微小な液体や粒子など)を含んでいます。地球が誕生した直後は、火山活動によって放出された二酸化炭素やメタン、アンモニアが大気の主成分であり、酸素はほとんどありませんでした。しかし、約25億年前に酸素発生型の光合成を行う生物が出現・増加した結果、酸素濃度が上昇し、現在の大気組成に近づきました。同時に、地球上の酸素濃度が上昇したことで太陽からの紫外線と酸素の一部が化学反応を起こし、次第にオゾン層が形成されるようになりました。オゾン層は生物にとって有害な紫外線を吸収するため、オゾン層の形成によって生物が陸上に進出できるようになったといわれています。

大気には「温室」としての役割もあります。もし大気がなければ地球の平均地表温度は約-15℃にまで下がるといわれており、大気中の水蒸気や二酸化炭素が地球から放射される赤外線を吸収することによって平均地表温度が約15℃に保たれ、地球は生物が生存するのに適した環境が維持されています。しかし産業革命以降、化石燃料の燃焼などにより大気中の二酸化炭素濃度は約280ppmから420ppm(ppm:0.0001%)に上昇し、2024年には地球の平均気温は1850年~1900年の平均と比較して約1.55℃上昇しました 。二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの増加は気候変動の最大の要因であり、温室効果ガスの排出削減は昨今の喫緊の課題になっています。このように、大気の化学組成は非常に繊細なバランスで成り立っており、わずかな変化が地球全体の気候に大きく影響を与えるといえます。

  • IPCC AR6では1850年~1900年を基準に2011年~2020年の平均気温の上昇量として1.09℃が示されています。

大気圏では気温差によって大小さまざまな規模で大気の運動が引き起こされています。地表から上空10~16kmにかけては下層の暖かい空気と上層の冷たい空気の交換、つまり対流が活発で、この層を対流圏といいます。雲や降水など、日常で体験する気象現象の大半はこの対流圏で起きており、気象現象を通して熱や水が循環しています。

大気の温度は水平方向でも異なります。一般的に、低緯度(赤道に近い)ほど気温は高く、高緯度(北極や南極に近い)ほど低くなり、この気温差を解消するように地球上では大規模な大気の運動が引き起こされています。偏西風(ジェット気流)などの恒常的な風はこうした大気の運動に自転の力(コリオリの力)が作用することで発生し、地球上の水や物質の移動・循環に大きく寄与しています。なお、地球の物質循環については 「地球の物質循環」をご参照ください。

大気は水平方向や鉛直方向に絶えず運動することで熱や水、物質の移動や循環にとって欠かせない場になっているほか、自然環境を特徴づける要素にもなっています。熱帯雨林や砂漠といった地球上のバイオームは気温と降水量により決まり、特に植生は気候(気温や降水量など)と非常に密接な関係があります。大気圏で起きている熱循環や水循環は気温や降水量の分布に大きく影響するため、大気圏は地球上の多様なバイオームの形成にとっても欠かせない場になっているのです。

図
大気の運動
出典:
気候とバイオーム
図

水圏

水圏は、地球上の水が存在するすべての場所を指し、海洋や河川、湖、地下水、さらには大気中の水蒸気を含みます。
水圏の起源は約40億年前に遡ります。当時、地球の表面はマグマの海で覆われていましたが、それが冷える過程で火山活動によって放出された水蒸気が凝結して雨となり、多量の雨水により海が形成されました。その際に海水は大気中の二酸化炭素を吸収し、温室効果を抑える働きをしました。こうして誕生した海は、地球の温度を安定させ、地球の気候に大きな影響を与えています。

この水圏は、地球全体でエネルギーと物質を移動させる重要な役割を担っています。暖かい海面から蒸発した水蒸気は、大気中で凝結する際に熱を放出し、これが大気の対流を活性化します。また、雲は太陽光の一部を反射して地表を冷やし、夜間には赤外線を吸収して地表を保温する役割を果たします。さらに、水圏全体は生物活動を支えるための溶媒や化学反応の場、輸送媒体などとしても極めて重要です。例えば、河川は植物プランクトンにとって必須のカルシウムや、ケイ酸などの栄養塩を海に運んでいます。

地球上の淡水は地表水と地下水を合わせても地球上の水全体の約2.5%に過ぎません。その淡水の約70%が氷河、約30%は地下水の状態で存在しているといわれており、我々人類が利用可能な水の量は全体の約0.01~0.02%とさらに限られています。この限られた淡水資源は、飲料水や農業用水、工業用水として重要な役割を担っており、その管理が人類にとって対応すべき課題となっています。特に、淡水資源の供給と需要には地域性があり、特定の地域は淡水資源が豊富である一方、一部の地域では水不足が深刻な問題となっています。この偏在性は地域の経済や社会に直接影響を与えるため、淡水資源の管理と配分において国際的な協力が必要とされます。

このように、水圏は、海、雲、雨、河川、地下水などからなる水循環を通じて、地球全体に熱と物質を再分配しています。水圏は地球の気候と生態系において欠かせない存在であり、私たちの生活にも深く関わっています。

〇〇の図
地球上の水量
出典:

コラム

地球の歴史

地球は約46億年前に誕生したといわれています。誕生したばかりの地球は非常に高温で、一面マグマに覆われていました。その後、数億年かけて地表が冷やされると、地球を覆っていた大量の水蒸気が雨となって降り注ぎ、約40億年前に海が誕生したといわれています。約35億年前には海で初めての生命が誕生し、約4億年前に生物が陸上に進出したと考えられています。現生人類の誕生は約40~25万年前です。
地球誕生から現在に至るまで、大気の組成や気温などといった地球環境は幾度も大きく変化してきました。地球環境の変化に伴い、生物は過去5回にわたり大量絶滅を繰り返しています。一方、近年は社会・経済活動による気温の変化(地球温暖化)や生物の絶滅などが指摘されており、人為起源による地球環境の変化に歯止めをかけることが急務になっています。

大気組成の変化、イベント(海の誕生、生命の誕生、大量絶滅など)の図
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