『気候変動長期ビジョン』 ~温室効果ガス排出のネットゼロに向けて~ はこちら[1.2MB]
基本的な考え方
基盤マテリアリティ
丸紅グループは、永続的成長を成し遂げるため、経営理念を実践し、今日より豊かな未来を創る最も重要な基盤的な要素として、3つの基盤マテリアリティを特定しました。
- マーケットバリューの高い人財
- 揺るがない経営基盤
- 社会と共生するガバナンス
1. マーケットバリューの高い人財
丸紅グループは、環境や社会の要請を先取りして、プロアクティブにソリューションを提供し続けるには、「人」こそ「財(たから)」だと考えています。社内で必要とされるだけでなく、社会から必要とされ評価を受ける「人財」を「マーケットバリューの高い人財」と定義し、私たちはマーケットバリューの高い人財を育て、多くのイノベーションを巻き起こし、ソリューションを提供していきます。
丸紅グループが考える「マーケットバリューの高い人財」とは
- 法令遵守、国際慣習の準拠にとどまらず、社会の善を基準とした高い倫理観を持つ人財
- 社会の変化などを先取りできる先を読む力・洞察力・独創性・変革力があり、正しい決断力と判断力を持ち合わせ、スピード感を持って実行(力)できる人財
- 社会の要請などと真摯に対話できるコミュニケーション力、判断・決断・実行の礎となる使命感、責任感、現場感といったマインドを持つ人財
2. 揺るがない経営基盤
丸紅グループは、人財の力を最大限に引き出し、企業価値の最大化を図っていくには、確固たる、「揺るがない経営基盤」が必要と考えており、これを2つ目の基盤マテリアリティとして特定しました。
人財が活動しやすくするための基盤をつくり、そしてその基盤を揺るぎないものまで強化することなくして、人財がイノベーションを起こし、ソリューションを提供し続けることはできません。人財が丸紅グループの経営基盤を最大限に利活用することで、企業価値最大化へと繋げていきます。
「揺るがない経営基盤」とは
- ブランド・信用力、営業基盤・ネットワーク、財務基盤といった、強化された根源的な経営基盤
- マーケットバリューが高い人財を数多く輩出でき、その人財がやりがいを持って働くことができるよう醸成された企業風土・文化
- 多様性の持つ価値創造力が重視され、質の高いソリューションを創出する、組織の中に息づいたダイバーシティ&インクルージョン
3. 社会と共生するガバナンス
丸紅グループは、揺るがない経営基盤を土台として、マーケットバリューが高い人財がイノベーションを起こし、ソリューションを提供し続け、企業価値を高めていきます。
その中で、社会からの期待・要請を踏まえ、社会と共生していくための企業統治の仕組みを確立し強化していくことが、すべてのステークホルダーに対して重要な意味を持つと考え、「社会と共生するガバナンス」を3つ目の基盤マテリアリティとして特定しました。
丸紅グループは、多様なステークホルダーとのエンゲージメントを深め、取締役の監督機能の実効性と経営の透明性を高めることにより、社会と共生するガバナンスを構築し、サステナビリティの実現を目指していきます。
環境・社会マテリアリティ
丸紅グループは、国連にて2015年9月に採択された持続可能な開発目標(SDGs)を、将来の世代により良い地球を残そうとする政府・民間・市民社会にとってのサステナビリティの重要な国際目標・課題と考え、環境・社会課題の解決に貢献するために4つの環境・社会マテリアリティを特定しました。
- 気候変動対策への貢献
- 持続可能な森林経営、森林保全への貢献
- 人権を尊重し、コミュニティとの共発展に貢献
- 持続可能で強靭なサプライチェーン構築、取引先との協働
丸紅グループの環境・社会マテリアリティは、SDGsの17の目標と169のターゲットに加え、ステークホルダーの期待・関心および丸紅グループのビジネスが環境・社会に及ぼす影響(インパクト)を踏まえ、以下のクライテリアに基づいて特定したものです。基盤マテリアリティを活用して環境・社会マテリアリティに取り組むことで、SDGsの達成に貢献し、今日より豊かな未来を創ることに繋げていきます。
1. 気候変動対策への貢献
気候変動は、温暖化や自然環境の変化、災害増加など、幅広い分野で環境・社会の持続可能性に影響を及ぼす、地球規模での課題となっています。
丸紅グループは、グローバルに事業を展開するうえで、気候変動の問題が重大なリスクとなる一方、ビジネスの機会となりうると考えています。
丸紅グループは、気候変動の緩和・適応両分野への貢献を環境・社会マテリアリティの一つとして位置づけており、主に以下に取り組むことで、気候変動対策に貢献します。
・気候変動に伴う移行リスクを事業機会と捉え、2018年3月期約7千億円のグリーンレベニューを2024年3月期までに約1兆3千億円に拡大することを目指します。
丸紅グループは、気候変動対策に貢献するビジネスとして、以下をグリーンレベニューと定義しています。
- 森林・水産などの持続性に貢献する認証取得製品の売上高
- 環境負荷の軽減に貢献するビジネス(不動産など)の売上高
- 再生可能エネルギーによる発電に関連するビジネスの売上高
- EV(電気自動車)の普及に貢献するビジネスの売上高
- 廃棄物削減に貢献するビジネス(リサイクル関連など)の売上高
- 資源の有効活用に貢献するビジネス(水事業など)の売上高
・丸紅グループは、気候関連財務情報開示の重要性を認識し、TCFD※1提言に賛同の意を表明するとともに、気候変動がもたらす「機会」および「リスク」の財務的インパクトの把握、情報開示の拡充に取り組んでいきます。
1 金融安定理事会(FSB:Financial Stability Board)によって設立された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)
2. 持続可能な森林経営、森林保全への貢献
森林は地球上の生命に様々な恩恵をもたらす貴重な資源です。丸紅グループは、現在約12万ヘクタール(総事業面積約30万ヘクタール)の植林事業を有し、持続可能な森林経営手法を取り入れて運営しています。
丸紅グループは、貴重な森林資源を保全し、持続可能なかたちで有効活用することで、今日より豊かな未来を創るため、「森林経営方針」および「商品調達方針(森林由来製品)」を策定しました。これらの方針に則って事業活動を行うことで、持続可能な森林経営を推進するとともに、森林保全に貢献していきます。
3. 人権を尊重し、コミュニティとの共発展に貢献
経済のグローバル化に伴う企業の海外進出に伴って、進出先の国・地域における、労働者や地域住民などに対する深刻な人権侵害が問題となっています。これらの人権侵害は、企業が事業活動における人権尊重に配慮を行うことで解決・改善できる点も多く、現在、企業が担う役割に対する期待が高まっています。
丸紅グループは、国内外に130拠点※2を持ち、5万人以上※3のグループ従業員が在籍し、国籍・人種も多様性を有しています。また、事業活動の範囲も多岐にわたり、グローバルに多角的なビジネスを展開しています。
丸紅グループは、今日より豊かな未来を創るため、国際社会が直面する人権に関する課題に真摯に取り組んでいきます。取り組みの一環として、このたび、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」の3原則「(1)人権の尊重、(2)人権デューデリジェンスの実行、(3)救済」に基づき、「丸紅グループ人権基本方針」を策定しました。
2 拠点数:2024年4月1日現在
3 グループ従業員数:50,200名(2024年3月31日現在)
4. 持続可能で強靭なサプライチェーン構築、取引先との協働
丸紅グループは、グローバルに多種多様な取引・事業を行っており、サプライヤーも数多く存在しています。丸紅グループのサプライチェーン全体で地球環境の保全、社会の持続的発展に取り組むことで、サステナビリティへの貢献度は高いと考え、今日より豊かな未来を創るため、持続可能で強靭なサプライチェーン構築、取引先との協働を環境・社会マテリアリティの一つとして特定しました。サプライチェーン・マネジメントに取り組むとともに、売り先に対しても働きかけを行い、丸紅グループのみならず、取引先を含むサプライチェーン全体の競争力、強靭性を高めていきます。
丸紅グループは、ステークホルダーとともに推進するサステナビリティの一環として、取引先を含めたサプライチェーン・マネジメントを目指し、2008年に「サプライチェーンにおけるCSR基本方針」を制定しました。その後、同方針の趣旨についての理解と協力を得るため、サプライヤーへの同方針の送付、アンケート調査、丸紅グループ関係者が直接サプライヤーの製造もしくは生産現場を訪問する現地調査などに取り組んできました。今後の課題として、サプライヤーだけでなく、当社の売り先に対する働きかけ、つまりバリューチェーン・マネジメントが重要であると考え、その課題解決に向けて段階的に取り組んでいきます。
更に、2019年1月には、「サプライチェーンにおけるCSR基本方針」を改定し、「サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針」※4を策定しました。
4 当社は、2021年3月期から2023年3月期にかけて、当社グループのTier 1サプライヤー約23,000社に向けて、「サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針」、「丸紅グループ人権基本方針」を通知しました。
マテリアリティの特定・見直しのプロセス
サステナビリティにおける重要な課題は、丸紅グループを取り巻く社会・環境の変化によって、常に見直し、再検討する必要があると考えています。具体的には、ステークホルダーとの対話、社会からの期待の確認、当社グループへの影響の分析・検討を継続的に実施する中で、定期的に見直しを行っています。
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社長直轄の組織であるサステナビリティ推進委員会は、年に1回以上の頻度で取締役会への報告を行っており、取締役会は委員会で討議された重要な事項の定期的な報告を通じて、サステナビリティに関する事項の監督を行っています。