石炭火力発電事業に関する取り組み
丸紅は、2018年に石炭火力発電事業に関する方針を策定し、新規石炭火力発電事業には取り組まないことを宣言しています。
既契約済みの石炭火力発電事業については、ホスト国などのステークホルダーへの責任を果たすため、責任を持って発電所の運営方針を検討していきます。また、同時に、ホスト国の脱炭素に向けたエネルギー政策への貢献を通じ、丸紅グループの脱石炭プロセスを加速化していきます。
なお、ネット発電容量の削減目標は長期売電契約の満期終了などに伴い達成する見込みです。
丸紅の気候変動対策への貢献(TCFD提言に基づく情報開示)をご紹介します。
丸紅グループは、気候関連財務情報開示の重要性を認識し、2019年2月にTCFD※1提言に賛同の意を表明するとともに、気候関連のリスクおよび機会の把握、情報開示の拡充に取り組んでいます。また、TCFDに賛同している日本企業が参加する「TCFDコンソーシアム」※2にも参画しています。
1 金融安定理事会(FSB:Financial Stability Board)によって設立された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)
過去の開示内容はこちらをご覧ください。
丸紅グループは、経営理念として、社是「正・新・和」の精神に則り、公正明朗な企業活動を通じ、経済・社会の発展、地球環境の保全に貢献する、誇りある企業グループを目指しています。丸紅グループの長期戦略は、経営理念の実践であり、顧客・社会の課題を先取りし、ソリューションを提供することで価値を創造し成長することです。
顧客・社会の課題は多様で変化し続けます。変化を先取りするために、丸紅グループは、1. 人財、2. 地域、3. セクター、4. ビジネスモデルの4つの多様性を差別化要因の一つとし、自らも変化し続けています。これが、丸紅グループの強みであり、価値創造の源泉です。強みを更に高めるため、「基盤マテリアリティ(①マーケットバリューの高い人財、②揺るがない経営基盤、③社会と共生するガバナンス)」を特定し、継続的に強化に努めています。
気候変動は、丸紅グループの成長に影響を与える重要な要素であるため、「環境・社会マテリアリティ」の一つに特定しています。気候変動という社会課題を先取りし、ソリューションを提供するため、『気候変動長期ビジョン』を策定し、国際社会の目標であるパリ協定に則した丸紅グループのGHG排出削減を目指すとともに、グループ外の低炭素・脱炭素社会への移行を、成長機会と捉えています。
当社は気候変動の取り組みにおいては、短期(~3年)、中期(3~10年)、長期(10~30年)の時間軸を定義しています。また、財務的影響【長期】については、当該影響を見積もるには測定の不確実性の程度が高く定量的情報が有用ではないため、「気候変動に関する長期戦略」および「低炭素・脱炭素社会への移行を先取りした丸紅グループの取り組み」において定性的な情報を記載しています。
「基盤マテリアリティ」および「環境・社会マテリアリティ」の詳細については、丸紅のマテリアリティをご参照ください。
『気候変動長期ビジョン』についてはこちらをご参照ください。
2021年3月に策定した『気候変動長期ビジョン』は、2つの柱からなります。一つはグループのGHG排出ネットゼロを達成すること(Scope 1・Scope 2およびScope 3カテゴリ15(投資))のCO2排出量の削減ほか、詳しくは「指標および目標」をご参照ください)、もう一つは事業を通じて社会の低炭素化・脱炭素化に貢献することです(Scope 3の全カテゴリおよび削減貢献量の算定ほか、詳しくは「事業を通じた低炭素化・脱炭素化への貢献」をご参照ください)。これらを同時に推進することで、気候変動問題に対してポジティブインパクトを創出し、成長する企業グループを目指します。
以下は、2024年12月時点で知り得る情報をもとに記載しています。
丸紅グループの強みを活かし、低炭素・脱炭素社会への移行を「機会」として成長に繋げる事例を以下3例紹介します。
① 資源・エネルギー分野における取り組み
セクター・ビジネスモデルの多様性を活用し、低炭素・脱炭素社会への移行を先取りしたビジネスポートフォリオのリバランスにより、持続的な成長に繋げています。具体的には、エネルギー供給分野において、化石燃料から再生可能エネルギーおよび代替エネルギーへの転換に貢献するとともに、移行ニーズに合致した天然ガスビジネスを継続します。一方で、資源分野では脱炭素化の前提である電化の促進に不可欠な銅の生産能力を拡大することによって、資源・エネルギー分野において、グループ全体の収益力を堅持し、移行に伴う財務インパクトをポジティブにしています。
一次エネルギー別需要量予測(全世界)
IEA “World Energy Outlook 2023” NZEシナリオ より当社作成
■石炭(一般炭+原料炭)に関連する記載
■天然ガスに関連する記載
■再生可能エネルギー(バイオエネルギー除く)に関連する記載
総電力発電量 / EV需要 / バッテリー容量の指数(全世界)
IEA “World Energy Outlook 2023” NZEシナリオ より当社作成
EV需要のみ2020年の値を100とした場合の指数
総電力発電量 / 銅需要の指数(全世界)
IEA “World Energy Outlook 2023” NZEシナリオ より当社作成
■銅需要の指数に関連する記載
② 電力分野における取り組み
電力分野においては、社会がカーボンニュートラルに移行する中、多様化する顧客ニーズに対し、業界トップクラスのIPP(Independent Power Producers)実績、EPC(Engineering, Procurement and Construction)取りまとめ実績、豊富な電力卸売・小売の経験等の様々な機能を組み合わせ、エネルギーの効率利用や低炭素・脱炭素社会への移行に向けた総合的な問題解決を提供し、付加価値を生み出しています。
とりわけ、低炭素・脱炭素社会への移行を見据えた取り組みとして、SmartestEnergy社(以下、SEL社)の取り組みが挙げられます。SEL社は2001年に丸紅グループがゼロから立ち上げ、再生可能エネルギー電源を中心に英国電力市場での卸調達・小売事業を手がけています。
2015年には産業界向けに再生可能エネルギーの産地証明書(以下、再エネ証書)を組み合わせた電力の提供など業界初の試みを実践し、英国の大手電力会社と同規模(小売販売量ランキング6位)の電力サービス事業者に急成長し、今も成長を続けています
(詳しくは統合報告書2024(P.39)[38MB]をご参照ください)。
今日ではこのような取り組みを米国や豪州へ展開するとともに、国内では丸紅新電力株式会社(以下、丸紅新電力)が実施しています。丸紅グループは、新電力のパイオニアとして2000年に電力小売事業に参入、2011年に丸紅新電力を設立し、日本の電力市場自由化と歩みをあわせ、電力の安定供給に努めています。丸紅新電力ではお客様のニーズにあった様々な商品・プランを提供しており、需要家向けに様々な再生可能エネルギー小売メニュー、また小売電気事業者向けには複数の発電事業者から調達した再生可能エネルギー電力を束ね供給する再生可能エネルギー卸供給サービス等を提供しています。
取扱商品の電源割合推移
取扱商品の9割以上が再生可能エネルギー由来の商品ポートフォリオ
取扱商品の再生可能エネルギー由来電力取扱量につき、2016年3月期:1,674MW(全体の電力取扱量:2,456MW)から、2024年3月期:3,420MW(同:3,688MW)に増加。
SmartestEnergyグループ成長の変遷
③ 森林・植林分野における取り組み
森林・植林分野においては、インドネシア、豪州の2カ国に約12万ヘクタールの植林事業(東京23区面積の約2倍、総事業面積は約30万ヘクタール)を有しています。とりわけ、降雨量および日照量が多く木の成長に適した熱帯雨林気候帯に広大な植林を展開している、インドネシアでの当社植林事業(PT. Musi Hutan Persada (MHP社))のポテンシャルは大きいと考えています。
現在は主として製紙用途を対象に事業を行っていますが、低炭素・脱炭素社会への移行の推移を見極めつつ、他用途への木質資源の活用や、丸紅グループが長年培った森林経営ノウハウを活用した国内、インド、フィリピン等における森林カーボンクレジットの創出といった環境価値による収益最大化を目指しています。
バリューチェーン上のGHG排出は丸紅グループがその削減に貢献できる機会と捉えており、関連するすべてのScope 3のカテゴリを算定しています。
丸紅グループの特徴として、Scope 3の排出量(89百万トン)が、Scope 1・Scope 2(1.2百万トン)の70倍超となっています。
丸紅グループのScope 1・Scope 2およびScope 3の主なカテゴリ(詳細は「データ」をご参照ください)
2024年3月期 | ||
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Scope 1・2 | Scope 1 | 0.9 |
Scope 2 | 0.3 | |
合計 | 1.2 | |
Scope 3 | カテゴリ1(購入した製品・サービス) | 36 |
カテゴリ11(販売した製品の使用) | 18 | |
カテゴリ15(投資) | 25 | |
その他のカテゴリ | 11 | |
合計 | 89 |
各カテゴリと全カテゴリの合計値は四捨五入の関係で一致しない場合があります。
カテゴリ1:肥料、穀物、化学品等が含まれます。
カテゴリ11:化石燃料等が含まれます。
カテゴリ15:発電事業等が含まれます。
Scope 3の排出主体は多種多様なセクターに及び、これら排出主体に低炭素・脱炭素のソリューションを提供することは、気候変動対策への貢献度が高いだけでなく、丸紅グループにとって低炭素・脱炭素社会への移行に伴う機会であり、成長に資するものです。
エネルギー供給面では脱炭素社会の基盤となるエネルギーシステムの構築、エネルギー需要面では幅広い産業におけるGHG排出抑制・削減への取り組み、土地利用の分野では持続可能なアグリインプット事業・森林経営への取り組みを推進することがソリューションの例となります。
また、ソリューションの効果を定量的に把握するため、削減貢献量・CO2蓄積量を算定しています。これらは丸紅グループが事業機会を捉えていることを示す指標でもあります。
ソリューションの具体例
商品・ 分野 |
ソリューション | 取り組み | 貢献領域 | ||
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エネルギー供給 | エネルギー需要 | 土地利用 | |||
肥料、 化学品 |
省エネ/効率化 | グリーンアンモニアの販売 | ● | ||
施肥効率の改善 | 土壌データ分析サービス等による肥料使用量の最適化 | ● | |||
CCUS | CO2を原料としたメタノールの販売(化石資源由来原料からの転換) | ● | |||
化石燃料 | トランジションエネルギー | 脱炭素社会への移行に欠かせない天然ガス・LNGの販売拡大 | ● | ||
代替エネルギー | 次世代燃料(水素・アンモニア・SAF・バイオメタン等)の製造・販売 | ● | |||
代替エネルギー | アンモニア輸送船の保有・運航 | ● | |||
代替エネルギー・持続可能な森林経営 | バイオマス燃料(木質ペレット・チップ)の製造・販売 | ● | ● | ||
EV等電化促進 | EVのリース・商用向けフリートマネジメント・バッテリーリユース/リサイクル | ● | |||
EV等電化促進・省エネ/効率化 | 銅・アルミの生産、販売(電化推進・輸送機の軽量化) | ● | |||
省エネ/効率化 | コンテナラウンドユース、パレットラウンドユースによる物流の効率化 | ● | |||
CCUS | CO2回収・利用・貯留事業の構築 | ● | |||
発電事業 | 再生可能エネルギー発電 | 再生可能エネルギー関連事業の拡大 | ● | ||
蓄電池・EV等電化促進 | 系統安定化向け蓄電サービス、次世代蓄電池の開発・製造・販売 | ● | |||
商品・ 分野横断 |
持続可能な森林経営 | 環境植林事業 | ● | ||
領域横断 | 環境価値(証書・排出権)の創出・販売 | ● | ● | ● |
削減貢献量
評価対象 | 単位 | 2024年3月期 | 算定方法 |
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再生可能エネルギー発電 | 千t-CO2e | 約1,429 |
算出式:発電設備容量×24時間×365日×設備稼働率×ホスト国の平均排出係数×当社持分比率
排出の大部分を占める運用段階の削減貢献量のみを算定 ベースライン:各国のエネルギーミックス排出係数:国際エネルギー機関(International Energy Agency, IEA)による国別のCO2排出係数(CO2 emissions per kWh from electricity generation)を参照 |
削減貢献量とは、自社の製品・サービスを使用することで、社会全体の排出削減にどれだけ寄与したかを定量化した指標です。
算定においては、可能な限り実績値や公知情報を用いていますが、入手困難な場合には合理的と思われる前提やシナリオを設定しています。
参照文献として、主にWorld Business Council for Sustainable Development(WBCSD)によるGuidance on Avoided Emissionsを使用していますが、算定ルールについて国際的な議論が続けられているため、その動向を踏まえ、算定、開示方法を今後も見直していきます。
CO2蓄積量
評価対象 | 単位 | 2024年3月期 | 算定方法 |
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植林・管理林 | 百万t-CO2e | 約14 | “2019 Refinement to the 2006 IPCC Guidelines for National Greenhouse Gas Inventories” Volume 4のChapter 4 Forest LandのTier 2アプローチをベースに生体重量を算定 |
気候変動による事業への影響度および丸紅グループへの影響度(資産規模、収益規模など)が相対的に高い事業を選定し、短期(~3年)、中期(3~10年)、長期(10~30年)の時間軸を定義したうえで、現行シナリオと移行シナリオにおける事業環境認識(移行リスク/機会、物理的リスク/機会、時間軸(短期・中期・長期))を踏まえた中期の財務的影響および対応方針・取り組みについて、TCFD提言に沿ってシナリオ分析を実施しました。
丸紅グループの事業ポートフォリオは多岐に分散されており、特定の産業やビジネスに固有のリスクがグループ全体の財務状況に与え得る影響は限定的ですが、適切なリスク管理を継続的に強化し、気候変動に対するレジリエンスを更に高めていきます。
下図マトリックスの右上部分をシナリオ分析の対象としました。
選出した各事業に対するシナリオ分析結果は以下の通りです。
記載しているシナリオおよび事業環境認識は、IEA(国際エネルギー機関)などの国際的な機関が提示する主なシナリオおよびそれらに基づく丸紅グループの認識であり、丸紅グループの将来見通しではありません。
分析のプロセス
事業環境認識(移行リスク/機会、物理的リスク/機会、時間軸(短期・中期・長期)) |
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財務的影響【中期】 |
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総合評価を矢印を使用して7段階で記載。 左記評価に関する説明を記載。 |
対応方針・取り組み |
上記シナリオの事業環境認識を踏まえた当社の事業に対する対応方針・取り組みを記載しています。 |
財務関連情報 |
対象事業が属するセグメント(本部)の親会社の所有者に帰属する当期利益(損失)、セグメントに対応する資産または対象事業のエクスポージャー※を記載しています。
エクスポージャー:出資、融資、有形固定資産、保証の合計 |
発電事業(石炭火力・ガス火力・再生可能エネルギー)
事業環境認識(移行リスク/機会、物理的リスク/機会、時間軸(短期・中期・長期)) | ||
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財務的影響【中期】 | ||
石炭火力 | 当社発電事業の大半は、発電容量に対して対価が支払われる長期売電契約に基づいており、石炭火力への需要減による既存事業への影響は限定的。ただし、退役資産により石炭火力からの収益は縮小。 | |
ガス火力 | 事業環境として、現行シナリオでは需要増、移行シナリオでも短中期的には一定の新規需要が見込まれるため、新規開発により収益に与える影響はポジティブ。 | |
再生可能エネルギー | 事業環境は現行シナリオで需要増、移行シナリオでは顕著に増加するため、新規開発および再生可能エネルギー関連ビジネスの拡大(電力卸売・小売事業や分散型電源事業などにおける再生可能エネルギー電力の取り扱い、環境証書取引、蓄電池・電力需給調整等を含むエネルギーマネジメント事業など)により、収益に与える影響は大きくポジティブ。 | |
対応方針・取り組み | ||
【物理的リスク対応】
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財務関連情報 | ||
電力本部
電力IPP事業における連結子会社損益および持分法による投資損益の合計 参考:2024年3月期末時点電源構成:石炭火力約2.4GW、再生可能エネルギー約1.8GW、ガス火力・その他約7.2GW |
エネルギー資源権益事業(石油・ガス・LNG)・代替エネルギー事業
事業環境認識(移行リスク/機会、物理的リスク/機会、時間軸(短期・中期・長期)) | ||
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財務的影響【中期】 | ||
石油 | 2030年までは、需要減が業績に与える影響は限定的。 | |
天然ガス・LNG | 2030年までは、需要が横ばい~増加のため、業績に影響を与え得る外部環境の変化は中立~ややポジティブ。 | |
代替エネルギー | 中長期的な市場拡大に向け、取り組みの深化に努める。収益に与える影響は技術革新の進捗次第でポジティブ。 | |
対応方針・取り組み | ||
【物理的リスク対応】
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財務関連情報 | ||
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金属資源権益事業(銅)
事業環境認識(移行リスク/機会、物理的リスク/機会、時間軸(短期・中期・長期)) | ||
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銅の需要 |
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財務的影響【中期】 | ||
拡大する需要を捉え、収益に与える影響はポジティブ。特に、電化の促進により、銅需要の更なる拡大および収益の更なる向上を期待。 | ||
対応方針・取り組み | ||
【物理的リスク対応】
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財務関連情報 | ||
金属本部
チリにおける銅事業への投資を行う事業会社 |
金属資源権益事業(鉄鉱石・原料炭)
事業環境認識(移行リスク/機会、物理的リスク/機会、時間軸(短期・中期・長期)) | ||
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鉄鋼生産量 |
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財務的影響【中期】 | ||
鉄鉱石 | 豪州鉄鉱石事業を中心に、拡大する需要を捉え、収益に与える影響はポジティブ。 | |
原料炭 | 現行シナリオでは、原料炭需要は堅調に推移。移行シナリオでは、原料炭需要減が予測されるものの、一定の高炉生産は継続される見込みであるため、収益に与える影響は限定的。 | |
対応方針・取り組み | ||
鉄鉱石
原料炭
【物理的リスク対応】
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財務関連情報 | ||
金属本部
豪州における鉄鋼原料事業への投資を行う事業会社 |
航空機リース事業(Aircastle)
事業環境認識(移行リスク/機会、物理的リスク/機会、時間軸(短期・中期・長期)) | ||
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航空での移動距離 |
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財務的影響【中期】 | ||
環境負荷の軽減に取り組むことで、移行シナリオでも需要増による収益に与える影響はポジティブ。 | ||
対応方針・取り組み | ||
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財務関連情報 | ||
金融・リース・不動産本部
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船舶事業
事業環境認識(移行リスク/機会、物理的リスク/機会、時間軸(短期・中期・長期)) | ||
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船舶での移動距離 |
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財務的影響【中期】 | ||
環境規制の強化に伴い、燃費性能に優れた新鋭船への入れ替え、配船効率の向上、既存船の省エネ技術の導入により、燃費性能向上に取り組むことで収益が拡大。 | ||
対応方針・取り組み | ||
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財務関連情報 | ||
航空・船舶本部
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北米アグリインプット事業
事業環境認識(移行リスク/機会、物理的リスク/機会、時間軸(短期・中期・長期)) | ||
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財務的影響【中期】 | ||
穀物需要の拡大により、収益に与える影響はポジティブ。移行シナリオでは、収量拡大に対するニーズが更に高まり、アグリインプット事業の成長率を拡大させる可能性あり。 | ||
対応方針・取り組み | ||
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財務関連情報 | ||
アグリ事業本部
米国における農業資材の販売および各種サービスの提供を行う事業会社 |
森林事業
事業環境認識(移行リスク/機会、物理的リスク/機会、時間軸(短期・中期・長期)) | ||
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財務的影響【中期】 | ||
現行シナリオでは、森林面積の縮小に伴う既存植林資産の価値向上を期待。移行シナリオでは、気候変動対策により森林価値が向上し、また、森林面積の拡大によって事業規模拡大の機会が増加することから、収益に与える影響はポジティブ。 | ||
対応方針・取り組み | ||
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財務関連情報 | ||
フォレストプロダクツ本部
1 インドネシアにおける植林事業(広葉樹植林)、パルプの製造および販売事業を行う事業会社 2 豪州における製紙用・バイオマス燃料用木材チップ製造、販売並びに植林事業を行う事業会社 |
現在(2024年3月期)および短期(~3年間)において、気候関連のリスク(キャッシュ・フロー、ファイナンスへのアクセスまたは資本コストに影響を与えると合理的に見込み得るリスク)が、丸紅グループに与える財務的影響(財政状態、財務業績、キャッシュ・フローへの影響)について、2024年3月期の決算(①総資産:8兆9,236億円、②純利益:4,714億円、③基礎営業キャッシュ・フロー※1:5,480億円)を基準として、気候関連の「移行リスク」および「物理的リスク」に基づき検討した結果※2、現在および短期の時間軸における丸紅グループへの直接的な影響は①~③それぞれにおいて1%未満であり、影響は限定的です。
1 基礎営業キャッシュ・フロー:営業キャッシュ・フローから営業資金の増減等を控除
2 気候関連の「移行リスク」とは低炭素経済に移行する取り組みから生じるリスク(政策、法律、技術、市場およびレピュテーション・リスク)、「物理的リスク」とは気候変動によりもたらされるリスクで、事象を契機とすることがあるもの(急性の物理的リスク)または気候パターンの長期的な変化によるもの(慢性の物理的リスク)をいいます。
「移行リスク」の検討にあたっては、カーボンプライシングが導入されている主要国の政策や法律の動向を踏まえて試算しました。試算にあたっては、事業実施国において現時点で導入済もしくは今後3年以内(短期)に導入予定のカーボンプライシング制度に当該事業が該当し、かつ当該制度変更リスクがヘッジされていない場合を対象としました。その結果、現在の財務的影響は1%未満であり、今後、短期の時間軸で試算根拠となるカーボンプライシングの価格が現行の2倍になったとしても、その影響は同じく1%未満であると分析しています。
「物理的リスク」の財務的影響については現在および短期の影響は限定的ですが、丸紅グループでは、当該リスクへの対応として、各事業拠点における設備、物流・サプライチェーンへの影響など、各事業に対する影響を想定し、BCP(Business Continuity Plan)の策定、防災対策、各種保険への加入、関連するステークホルダー(従業員・地域住民含む)への災害に関する啓蒙活動の実施(例:山火事対策)など、種々リスク対策を実施しています(詳しくは「シナリオ分析」の「対応方針・取り組み」をご参照ください)。
丸紅グループはサステナビリティ関連の重要事項(対応方針、目標、アクションプランなど)について、経営会議および取締役会にて審議・決定しており、取締役会の監督が十分に得られる体制を構築しています。取締役の報酬では、個人定性評価において、グリーン戦略を含むサステナビリティに関する取り組み等に関する貢献を考慮する等、中長期的な企業価値との連動性をより高める仕組みを取り入れています。
社長直轄の「サステナビリティ推進委員会」においては、サステナビリティに関連する幅広い事項を議論の対象としており、例えば、気候変動対応に関し、TCFD提言に基づく気候関連のリスクおよび機会の評価、戦略、リスク管理、指標および目標の設定や見直し、モニタリングを、気候関連のイノベーションの進捗や外部環境の変化を踏まえて議論し、定期的(年1回以上)に取締役会への報告を行っています。2024年3月期はサステナビリティ推進委員会を4回開催し、中期経営戦略GC2024で掲げるグリーン戦略の推進やTCFD開示について議論しました。
サステナビリティ推進委員会の委員長(Chief Sustainable Development Officer)は常務執行役員が務めています。社外役員もアドバイザーとしてメンバーに加わっており、独立した外部の視点も踏まえながらサステナビリティに関する事項の管理・統括を行っています。
丸紅グループは、気候変動、自然資本およびサプライチェーンマネジメントをはじめとする、サステナビリティの観点で重要度の高いリスクおよび機会について、サステナビリティ推進委員会で管理・モニタリングを行っています。
ビジネスのサステナビリティ面における潜在的なリスク評価として、環境、安全衛生、社会の3カテゴリ、27項目の多角的観点から分析・検討を行う仕組みを構築し、それぞれの評価項目における潜在リスクの重要度と影響度を判断しています。このリスク評価手法を用いて、グループ内やサプライヤーのサステナビリティ調査を実施しています。投融資決定プロセスにおいても、このリスク評価手法を用いて、既存事業のモニタリングを含め、グループの事業をサステナビリティの観点より継続的に評価する体制を構築しています。
とりわけ重要度の高い気候変動の影響に関しては、IEA等の様々なシナリオ分析を参照してリスクが高いと判断される場合には、想定されるGHG排出量の削減計画、案件実施国における脱炭素計画、気候変動長期ビジョンとの整合性等を考慮し、気候関連のリスクおよび機会、事業の優先度等を踏まえたうえで、投融資の意思決定に活かしています。また、気候変動の影響を含むリスクの高い事業領域については、必要に応じ、投融資委員会・経営会議・取締役会で審議しています。これらのリスク管理体制については、毎年実施している内部統制の基本方針の見直しの中で、前期の運用状況が取締役会に報告され、有効性を確認しています。
気候関連の「物理的リスク」については、丸紅グループでは、個々の対策が最適かを評価し、あらゆる危機に関して対応する体制の構築に継続して取り組んでいます。2022年4月、それまでの個別の危機事象をベースにしたBCP(Business Continuity Plan)を改定し、自然災害などを含む、オールハザード型の丸紅グループBCPを導入しています。BCPを有効に機能させ、BCM(Business Continuity Management)体制を構築・推進するため、本社総務部内に専任組織を設け、人員・システム・オフィス(建物)・決済機能およびグループ会社経営に関わる重要リソースに対する罹災が生じた場合には人命の安全を最優先に速やかに対応できる体制を構築しています。
環境 | 気候変動/環境汚染/生物多様性/資源管理/対策・管理手順(環境) |
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安全衛生 | 機械安全/火災・爆発/有害物質との接触/感染/危険性のある作業/対策・管理手順(安全衛生) |
社会 | 強制労働・人身取引/児童労働/労働時間/賃金・雇用契約/差別/ハラスメント・懲罰/多様性の尊重/結社の自由および団体交渉権/土地の問題/地域コミュニティへの負の社会的影響/先住民・文化遺産/紛争鉱物/プライバシー/アニマルウェルフェア(動物福祉)/責任あるマーケティング/対策・管理手順(社会) |
気候関連のリスクおよび機会への対応の一環として、丸紅グループでは以下の指標および目標を定めています。
指標および目標 | 実績 |
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約2.4GW(2024年3月期末時点) |
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約1兆700億円(2024年3月期) |
1 対象範囲:Scope 1・Scope 2およびScope 3(カテゴリ15(投資)) 2 既存投資先の2020年3月期実績に、2021年3月時点での約定済み案件(電力事業については売電契約締結済みで商業運転開始前の案件)からの想定排出量を加えた排出量 |
3 Scope 1・Scope 2の合算値は、6.5ガスを含みません。単位未満の数字を四捨五入して表示しています。 4 実績値には、売電契約締結済みで商業運転開始前の案件からの想定排出量は含みません。商業運転開始後は、実際の排出量が実績値に反映されます。 |
Scope 1~3の排出量データについては、データをご参照ください。
Scope 1・Scope 2およびScope 3カテゴリ15(投資)の実績値については第三者保証を取得しています。詳細は、環境データをご参照ください。
石炭火力発電事業によるネット発電容量推移
丸紅は、2018年に石炭火力発電事業に関する方針を策定し、新規石炭火力発電事業には取り組まないことを宣言しています。
既契約済みの石炭火力発電事業については、ホスト国などのステークホルダーへの責任を果たすため、責任を持って発電所の運営方針を検討していきます。また、同時に、ホスト国の脱炭素に向けたエネルギー政策への貢献を通じ、丸紅グループの脱石炭プロセスを加速化していきます。
なお、ネット発電容量の削減目標は長期売電契約の満期終了などに伴い達成する見込みです。
丸紅は、2020年に一般炭権益についての方針を策定し、一般炭権益は保有しておらず、また新規権益獲得も行わないことを宣言しています。
事業に影響し得る炭素税や排出権取引における炭素価格の勘案については、投融資案件の決裁申請時において、想定GHG排出量と排出権価格(EU ETS※1など)をもとに社内炭素価格(インターナルカーボンプライシング(ICP:Internal Carbon Pricing))を設定し、将来のGHGインパクトを参考値として定量化・可視化しています(2024年3月期において試算に用いた炭素価格の年間平均価格は約€80/t-CO2)。
1 EU ETS:欧州連合域内排出量取引制度(EU Emissions Trading System)。
<GHG排出に関する指標および目標はこちら[1.2MB]>
2020年3月期 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | ||
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Scope 1 | 丸紅単体主要拠点 | 4 | 12 | 75 | 120 | 121 |
丸紅単体(主要拠点以外) +連結子会社 |
773,194 | 797,963 | 1,016,412 | 1,000,004 | 948,704 | |
合計 | 773,198 | 797,975 (6.5ガス※1を含む) (683,025 (6.5ガス※1を除く)) |
1,016,487 (6.5ガス※1を含む) (896,877 (6.5ガス※1を除く)) |
1,000,124 (6.5ガス※1を含む) (849,910 (6.5ガス※1を除く)) |
948,825 (6.5ガス※1を含む) (790,865 (6.5ガス※1を除く)) |
|
Scope 2 | 丸紅単体主要拠点 | 2,307 | 2,146 | 0 | 0 | 0 |
丸紅単体(主要拠点以外) +連結子会社 |
308,193 | 280,025 | 222,559 | 221,821 | 254,928 | |
合計 | 310,500 | 282,171 | 222,559 | 221,821 | 254,928 | |
総計 | 1,083,698 | 1,080,146 (6.5ガス※1を含む) (965,196 (6.5ガス※1を除く)) |
1,239,046 (6.5ガス※1を含む) (1,119,436 (6.5ガス※1を除く)) |
1,221,946 (6.5ガス※1を含む) (1,071,731 (6.5ガス※1を除く)) |
1,203,753 (6.5ガス※1を含む) (1,045,793 (6.5ガス※1を除く)) |
2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | ||
---|---|---|---|---|---|
6.5ガス総量 | 114,950 | 119,610 | 150,214 | 157,960 | |
内訳 | 二酸化炭素(CO2) | 5,203 | 9,500 | 31,740 | 31,192 |
メタン(CH4) | 72,081 | 71,658 | 75,149 | 76,979 | |
一酸化二窒素(N2O) | 36,602 | 38,096 | 42,612 | 49,196 | |
ハイドロフルオロカーボン(HFCs) | 1,064 | 355 | 712 | 593 | |
パーフルオロカーボン(PFCs) | 0 | 0 | 0 | 0 | |
六ふっ化硫黄(SF6) | 0 | 0 | 0 | 0 | |
三ふっ化窒素(NF3) | 0 | 0 | 0 | 0 |
1 6.5ガスは、ドライアイスの使用に伴う二酸化炭素、廃棄物の焼却もしくは製品の製造の用途への使用・廃棄物燃料の使用に伴う二酸化炭素、メタンおよび一酸化二窒素、燃料の燃焼の用に供する施設および機械器具における燃料の使用、家畜の排せつ物の管理に伴うメタンおよび一酸化二窒素、家畜の飼養(家畜の消化管内発酵)に伴うメタン、業務用冷凍空気調和機器の整備におけるHFCの回収および封入におけるハイドロフルオロカーボン、変圧器等電気機械器具の使用における六ふっ化硫黄を対象としています。なお、パーフルオロカーボンと三ふっ化窒素の排出はありません。また、六ふっ化硫黄については、地球温暖化対策推進法に基づく報告義務が生じる会社はありませんでした。
各内訳の合計と全体の合計は四捨五入の関係で一致しない場合があります。
国際基準であるGHGプロトコルを参照し、サプライチェーン上の各カテゴリにおける温室効果ガス排出量を算定し、自主的に開示しています。
カテゴリ | 2020年3月期 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 購入した製品・サービス | - | - | - | - | 36 |
2 | 資本財 | - | 0.3 | 0.3 | 0.3 | 0.4 |
3 | Scope 1・2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動 | - | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 4 |
4 | 輸送、配送(上流) | - | 0.02 | 0.01 | 0.01 | 1 |
5 | 事業から出る廃棄物 | - | 0.01 | 0.02 | 0.1 | 0.1 |
6 | 出張 | - | 0.01 | 0.01 | 0.01 | 0.01 |
7 | 雇用者の通勤 | - | 0.01 | 0.01 | 0.01 | 0.01 |
8 | リース資産(上流) | - | Scope 1・2に含む | Scope 1・2に含む | Scope 1・2に含む | Scope 1・2に含む |
9 | 輸送、配送(下流) | - | カテゴリ4に含む | カテゴリ4に含む | カテゴリ4に含む | カテゴリ4に含む |
10 | 販売した製品の加工 | - | - | - | - | 1 |
11 | 販売した製品の使用 | - | - | - | - | 18 |
12 | 販売した製品の廃棄 | - | - | - | - | 3 |
13 | リース資産(下流) | - | - | - | - | 0.3 |
14 | フランチャイズ | - | 該当なし | 該当なし | 該当なし | 該当なし |
15 | 投資 | 26 | 25 | 25 | 22 | 25 |
内訳 | 発電事業 | 22 | 21 | 21 | 19 | 23 |
資源権益事業 | 3 | 3 | 2 | 2 | 2 | |
その他 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | |
合計 | 26 | 25 | 25 | 23 | 89 |
カテゴリ15の内訳とカテゴリ15の合計値は四捨五入の関係で一致しない場合があります。
各カテゴリと全カテゴリの合計値は四捨五入の関係で一致しない場合があります(2025年1月17日に、Scope 3 カテゴリ15以外のカテゴリを追加して更新しました)。
算定カテゴリ:2023年3月期までは、カテゴリ2~9、15のみを算定対象としています。2024年3月期からは、カテゴリ1、10~13を算定対象に含めています。
カテゴリ1~14共通:
カテゴリ1:肥料、穀物、化学品等が含まれます。
カテゴリ4:2023年3月期までは、国内の丸紅単体の荷主としての国内委託輸送のみを算定対象としています。2024年3月期からは、国内の丸紅単体および連結子会社における日本発着の国際海上輸送を算定対象に含めています。
カテゴリ10:中間製品・原料の販売に関して、その最終製品までの加工プロセスが把握できないものについては除外しています。
カテゴリ11:化石燃料等が含まれます。
カテゴリ15:
<2026年3月期までの東京本社の目標設定はこちら>
2020年3月期 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | |
---|---|---|---|---|---|
丸紅単体主要拠点の電力消費量(単位:千kWh) | 5,227 | 4,629 | 8,888 | 8,956 | 9,086 |
丸紅単体+連結子会社のエネルギー消費量(単位:千GJ) | 15,303 | 13,771 | 17,515 | 16,992 | 16,056 |
2020年3月期 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | |
---|---|---|---|---|---|
輸送量(千トンキロ) | 484,678 | 364,538 | 266,675 | 220,170 | 207,757 |
CO2排出量(t-CO2) | 22,617 | 17,516 | 13,768 | 11,787 | 10,246 |
原単位(原油換算kl/千トンキロ) | 0.0173 | 0.0178 | 0.0192 | 0.0199 | 0.0182 |
項目 | 内容 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 |
---|---|---|---|---|
気候変動リスク回避のためのコスト | 非常用発電機関係および異常気象による洪水等対策 | 5,732 | 6,255 | 6,519 |
気候変動リスク回避のための研究開発費 | 森林保全、温室効果ガス削減などに関する研究開発費 | 5,830 | 8,127 | 11,204 |
丸紅は、環境・社会マテリアリティの一つとして特定している気候変動対策に貢献すべく、業界団体やイニシアティブの取り組みに参加しています。
当社が参加する業界団体やイニシアティブが気候変動等に関する方針を策定する過程において、当社は、「気候変動長期ビジョン[1.2MB]」等を含む当社方針に基づいて意見表明を行っています。また、方針策定の段階で当事者間に意見の相違が見られる場合は、関係者と調整を行い、当社方針との齟齬が生じないよう適切に対応しています。
当社は、International Sustainability Standards Board(国際サステナビリティ基準審議会。以下、ISSB)が「国連気候変動枠組条約第28回締約国会議」(以下、COP28)において公表した気候関連開示基準※1に関する以下声明について、賛意を表明しました。
1 IFRS (国際会計基準、International Financial Reporting Standards (IFRS)) Standard 1 (S1号):サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項、IFRS Standard 2 (S2号):気候関連開示
Climate risks are increasingly having a real effect on companies and capital. Therefore - in response to calls for climate action at COP28 - we support the establishment of market infrastructure to enable consistent, comparable climate-related disclosures at a global level. We are committed to advancing the adoption or use of the ISSB’s Climate Standard as the climate global baseline.
当社は、国際環境非営利団体CDP※1より、水セキュリティ対策においてAリスト企業に選定され、コーポレートサステナビリティにおける先進企業として認定されました(2024年2月現在)。2021年に続き、3度目の選定となります。また、気候変動及び森林分野においても、それぞれA-を取得しました。
2023年のCDP Aリスト並びに他の公開スコアは、こちらをご覧ください。
1 国際環境非営利団体CDP:
CDPは、企業や自治体を対象とした世界的な環境情報開示システムを運営する国際環境非営利団体です。当社は2007年より回答しています。CDPは資本市場と企業の購買力を活用することで、企業が環境影響を開示し、温室効果ガスを削減し、水資源や森林を保護することを促進する取り組みを先導してきました。現在では136兆米ドル以上の資産を保有する740を超える署名金融機関と協働しています。2023年には、世界の時価総額の3分の2に相当する23,000社以上、そして1,100以上の自治体を含む、世界中の24,000を超える組織がCDPの質問書を通じて環境情報を開示しました。CDPは、TCFDに完全に準拠した世界最大の環境データベースを保有しており、CDPスコアはゼロカーボンで持続可能な強靭な経済の実現に向けて投資や調達の意思決定を促すために広く利用されています。CDPは、科学に基づく目標イニシアティブ(SBTi: Science Based Targets initiative)、We Mean Business連合、機関投資家の気候変動対策推進イニシアティブ(The Investor Agenda)、ネットゼロ・アセットマネージャーズ・イニシアティブ(NZAMI: Net Zero Asset Managers Initiative)の創設メンバーです。
当社は、経済産業省が設立した「グリーントランスフォーメーションリーグ」(以下、GXリーグ)に加盟しました。
GXリーグは、脱炭素化を目指す企業群と官・学・金融で経済社会システムの変革を目指すもので、排出量取引(GX-ETS)やサステナブルな市場創造に取り組みます。当社は、GXリーグでの市場ルール形成の各種議論(ボランタリークレジットやカーボンオフセットに関する議論等)の場において、総合商社の強みであるグローバルかつ幅広い事業分野でのノウハウを活かした意見発信をしていくことで、日本の温室効果ガスの排出削減、脱炭素化に貢献していきます。
当社は、日本経済団体連合会(以下、経団連)が提唱する低炭素社会実行計画に、日本貿易会の一員として賛同し、経団連や日本貿易会の気候変動に関するワーキンググループや意見交換会等に参加しています。
当社は、経団連の低炭素社会実行計画の方針に則って、気候変動対策に取り組んでおり、東京本社の2026年3月期のエネルギー使用量(電気、ガス)を2016年3月期比10%以上削減する目標を設定して省エネ設備の導入等を進めています。
当社は、日本貿易会のサステナビリティ推進委員会(以下、同委員会)とその傘下の環境ワーキングループのメンバーとして、商社業界全体の環境に関する取り組みに関する検討に参加しています。
同委員会では、商社業界の「環境自主行動計画(脱炭素社会・循環型社会形成)」の策定と進捗状況のフォローアップを行い、目標達成に向けて尽力しています。また、近年は気候変動をはじめとしたサステナビリティ情報開示への対応として、関係機関への意見発信も実施しています。
当社は、経団連の環境・エネルギー関係の委員会である「環境委員会」に参加し、気候変動対策・循環経済(サーキュラーエコノミー)・生物多様性の主流化の推進、環境規制・制度等の改善等、経済と両立する環境政策の実現に取り組んでいます。
事業会社の三峰川電力(株)では、「気候変動イニシアティブ」に参加し、水力発電を中心とした再生可能エネルギーの発電事業を推進し、低炭素社会の実現を目指しています。
三峰川電力(株)は、2005年より、環境省の制度である「エコアクション21」(以下、本制度)に参加しています。本制度の認証登録にあたり、「環境への取り組みを効果的・効率的に行う方法を構築・運用し、環境への目標を持ち、行動し、結果をまとめ、評価し、報告する」ことを継続的に行っています。この取り組みが高く評価され、2015年には、「エコアクション21中央事務局」より、感謝状と記念品が贈呈されました。今後も、「廃棄物削減」「水質維持」「省エネ/省資源」「地域での環境活動」を行い、地球環境保全を目指し、積極的に行動していきます。
2024年3月期実績 | 2025年3月期目標 | アクションプラン | |
---|---|---|---|
社用車燃料の削減 | 社有車全体の平均燃費: 12.97km/L | 社有車全体の平均燃費: 14.04km/L以上 |
|
事業所使用電力の削減 | 集中制御所使用電力: 130,438kWh | 集中制御所使用電力: 147,291kWh以下 | 空調設定温度の管理、稼働時間の制御を継続し、空調機器の適正使用に取り組む。空調の適正使用および不用照明の消灯徹底 |
一般排出量の削減 |
|
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当社は、サステナブルファッション実現に向けた課題に対して、共同で解決策を導き出していくための企業連携プラットフォームである「ジャパンサステナブルファッションアライアンス(Japan Sustainable Fashion Alliance)」に正会員として加盟しています。「適量生産・適量購入・循環利用によるファッションロスゼロ」と「2050年カーボンニュートラル」を目標に、ファッションおよび繊維業界の共通課題について共同で解決策を導き出し、サステナブルなファッション産業への移行を推進することを目的としています。「気候変動対策への貢献」を環境・社会マテリアリティの一つに特定している当社は、その目標実現に向け正会員として主導的に関与し貢献していきます。
当社は、国産の持続可能な航空燃料(Sustainable Aviation Fuel、以下、SAF)商用化および普及・拡大に取り組む有志団体「ACT FOR SKY」に加盟しています。地球温暖化対策として、世界的にCO2排出量削減への対応が急速に求められる中、航空業界においてはSAFの技術開発・製造・流通および利用を加速させる必要があります。世界的なSAF需要の高まりに対し、日本でも国産SAFの安定的な供給が必須です。「気候変動対策への貢献」を環境・社会マテリアリティの一つに特定している当社は、「ACT FOR SKY」を通じて、国産SAFの商用化および普及・拡大に向けた動きを加速させると同時に、企業・自治体等が協調・連携して行動を起こし、SAFやカーボンニュートラル、資源循環の重要性を訴えながら市民・企業の意識変革を通じて行動変容に繋げていくことを目指します。
持続可能な開発目標としての気候変動を緩和する低炭素社会の実現に向けて、再生可能エネルギー発電事業の積極的な推進と拡大に取り組んでいます。
丸紅は、小水力発電事業のほかに、風力・太陽光・バイオマス発電事業を通じ、地域環境の保全や生物多様性の保全に資する再生可能エネルギーの創出に積極的に取り組んでいます。
丸紅は、小水力発電事業(以下、本事業)を重要なビジネスの一つとして考え、2006年からグループ会社である三峰川電力(株)(以下、三峰川電力)において小水力発電事業に取り組んでいます。本事業では、自然エネルギーを活用するため、水質維持や廃棄物削減、省エネ・省資源、地域環境保全活動をはじめとする環境への配慮が不可欠です。当社は、2025年までに日本国内で40カ所程度の小水力発電所の開発を目指し、全国で、地域環境の保全や生物多様性の保全に資する再生可能エネルギーの創出に積極的に取り組んでいきます。
小水力発電とは、生態系に大きな影響を与えるダムのような大規模な工事を伴う施設を使用せず、河川や農業用水などを利用して開発地域を最小限に抑えることができる1,000kW以下の小規模な発電方法です。河川への水質汚染や水中の生物に及ぼす影響が極めて少なく、設置により地形や景観を損なわない、運用時のCO2排出がほとんどないといった、生物多様性への影響および環境保全上のメリットがあります。また、地域の水資源を活用するため、エネルギーの地産地消を実現する技術として、地域の自立的発展に役立つ可能性も秘めています。更に、地域と共生した発電所を目指して、環境をテーマとした地元住民の方々向けイベントや講師派遣、計画地の歴史への理解を深めることなどを通じ、地元関係団体や関係者の理解と協力を得ながらの事業実現を心がけています。
現在、当社は、三峰川第一・第二発電所をはじめ以下の小水力発電所を運営しています。
発電所名 | 所在地 | 許可出力 |
---|---|---|
三峰川第一発電所※1 | 長野県伊那市 | 23,100kW |
三峰川第二発電所※1 | 10,800kW | |
三峰川第三発電所 | 260kW | |
三峰川第四発電所 | 480kW | |
蓼科発電所 | 長野県茅野市 | 260kW |
蓼科第二発電所 | 141kW | |
蓼科第三発電所 | 93kW | |
蓼科第四発電所 | 145kW | |
新宮川発電所 | 長野県駒ヶ根市 | 195kW |
北杜西沢発電所 | 山梨県北杜市 | 220kW |
北杜川子石発電所 | 230kW | |
北杜蔵原発電所 | 200kW | |
本門寺第一発電所 | 静岡県富士宮市 | 120kW |
本門寺第二発電所 | 140kW | |
白石発電所 | 宮城県白石市 | 95kW |
花の郷発電所 | 福島県下郷町 | 175kW |
番屋川発電所 | 150kW | |
姫沼発電所 | 福島県猪苗代町 | 160kW |
水内川発電所 | 広島県広島市 | 180kW |
砂谷発電所 | 108kW | |
豊平発電所 | 広島県北広島町 | 112kW |
舂米発電所 | 鳥取県若桜町 | 7,890kW |
小鹿第一発電所 | 鳥取県三朝町 | 3,700kW |
小鹿第二発電所 | 4,990kW | |
日野川第一発電所 | 鳥取県日野町 | 4,300kW |
宝沢ほたる発電所 | 山形県山形市 | 170kW |
1 三峰川第一・第二発電所は中水力発電に該当
丸紅は、日本CCS調査株式会社に出資しています。
同社は、2008年5月、地球温暖化対策としてのCCS※1を推進するという国の方針に呼応して、CCS各分野の専門技術を有する大手民間会社が結集して設立された、民間CCS技術統合株式会社で、二酸化炭素(CO2)の分離・回収、輸送、地中貯留技術の事業化調査および研究開発業務、実証試験を推進しています。
1 CCS:Carbon dioxide Capture and Storageの略。二酸化炭素(CO2)の回収、貯留を意味しており、工場や発電所などから発生するCO2を大気放散する前に回収し、地中貯留に適した地層まで運び、長期間にわたり安定的に貯留する技術。
小水力発電事業に取り組む三峰川電力は、三峰川発電事業所において、エコアクション21※1の認証を取得しており、これは水力発電所として第1号です。最も標高の高い位置にある第二発電所の取水口は国定公園に接しており、三峰川発電事業所の設備は生物多様性においても価値の高い地域にあることを踏まえ、自然破壊をしないことはもとより、自然を保護していくことを目指しています。その一環として、河川清掃活動や油流出事故に備えた設備保守および緊急時対応訓練を実施していることに加え、年2回の水質検査を実施し、汚染の有無だけでなく、生物の要求する酸素量を満たしているかをチェックすることにより、生物多様性の保全対策を講じています。また、毎年地域の小・中学生や市民100人以上の発電所見学を受け入れ、ハイブリッド(風力、太陽光、水力)発電システムの展示などを紹介し、再生可能エネルギーの啓蒙活動や地域の伝統文化の伝承も支援しています。
北杜市村山六ヶ村堰ウォーターファーム※2では、既存の農業用水路を利用することにより農地への灌漑用水、生活用水と共存すべく利用水量を適宜調整しながら再生可能エネルギーを供給しています。
宮城県白石市の小水力発電所では、上水道施設の送水管の落差を利用した周辺環境への負荷が非常に少ない発電に取り組んでいます。
このほか、丸紅新電力(株)を通じた売電により、電気料金の一部を森林の維持管理活動にあて、生物多様性の改善に努めています。
M&C鳥取水力発電(株)(以下、M&C鳥取水力発電)は、地域住民とのコミュニケーションにより信頼関係を構築することは、水力発電事業を安心・安全・安定に行うために必要不可欠であると考えています。そのため、M&C鳥取水力発電は、「地域共生担当職員」を配置するとともに、ホームページ等に寄せられた住民の皆様の声を業務に反映し、事業の運営を行っています。また、工事や点検等によって生じえる、河川への環境面の影響や、水資源の保全・安定供給等に関する重要事項について、地元6自治体(若桜町、八頭町、倉吉市、三朝町、日南町、日野町)や各種協議会などの地域のステークホルダーの皆様と、定期的に対話を通じたコミュニケーションを行っています。一連の取り組みにより、各自治体のニーズ(苦情を含む)や事業リスクを把握し、経営戦略に組み込んでいきます。
また、M&C鳥取水力発電は、水力発電事業をテーマとした、小・中学校向けの出前教室や職場体験を計画しています。地域住民の知識向上を図るとともに、次世代の人材育成へと繋げ、地域の経済発展に貢献します。
丸紅クリーンパワー(株)(以下、丸紅クリーンパワー)は、「地域における社会課題の解決、地域社会や自然環境との共存を重視し、地域に密着した安定的なエネルギーサービス事業」の推進を目指し、バイオマスを中心とした再生可能エネルギーの開発を行っています。事業活動の一環として、地域の環境フェアや美化運動、地域の小学生向けの発電所の見学会の実施・ソーラーキット配布、商工会の勉強会への参加など、地域のステークホルダーとの交流にも積極的に取り組んでいます。
丸紅クリーンパワーは、「一般社団法人バイオマス発電事業者協会」(以下、同協会)に正会員(理事会社)として参加し、代表理事の職務に就いています。同協会には、発電事業者だけでなく、燃料供給事業者、メーカー、金融機関、コンサルタント会社など各業界からステークホルダーが参画しています。バイオマス発電事業の促進とバイオマス産業の健全な発展を図り、持続可能な循環型社会の構築と地球環境保全の推進に寄与すべく活動しています。
丸紅伊那みらいでんき(株)※3は、地域の日々の暮らしの課題に対するサービス創造を目的に、長野県伊那市およびその周辺において、電力小売やエネルギー関連サービスの提供を行っています。伊那市が管轄する「新産業技術推進協議会サスティナブル環境部会」のメンバーとなり、気候変動・生物多様性を含む持続可能な環境構築に向けた連携に率先して取り組んでいます。また、長野県上伊那郡南箕輪村が進める地球温暖化対策の実施に向けた計画策定の中で、南箕輪村地球温暖化対策実行計画(区域施策編)策定に関する特別委員会へ参加し、本社のある伊那市周辺地域の気候変動への対応について、地域と連携し取り組んでいます。
なお、丸紅グループの三峰川電力の水力発電事業も当該地域で展開しています。グループとして地域共生社会に貢献する事業ポートフォリオを構築していくことで、持続的な地域発展に貢献します。
1 環境省が定めた環境経営システムや環境報告に関するガイドラインに基づく制度
2 北杜市村山六ヶ村堰上に整備された4つの小水力発電所(北杜西沢発電所、北杜市村山六ヶ村堰水力発電所(北杜市営)、北杜川子石発電所、北杜蔵原発電所)
3 同社の株主構成(出資比率)は丸紅(株)(56%)、中部電力ミライズ(株)(34%)、伊那市(10%)です。株主間の協議を通じた地域開発に関する目標や期限や成果に対するモニタリングを行うシステムを構築しています。