メインコンテンツへスキップ

Social 社会

サプライチェーン

丸紅のサプライチェーンをご紹介します。

社会>サプライチェーン>方針>サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針

社会サプライチェーン

方針

サプライチェーンに関する基本的な考え方

丸紅グループは、数多くの取引先と共に、グローバルに多種多様なビジネスを展開しています。昨今、持続可能なサプライチェーン構築に向けた取り組みの重要性が高まっており、丸紅グループ内における取り組みのみならず、サプライチェーン全体で地球環境の保全、社会の持続的発展に取り組むことが、丸紅グループの競争力強化、差別化に直結すると考えています。
また、人権の尊重も持続可能なサプライチェーンに欠かすことのできない重要な要素です。丸紅グループは、持続可能で強靭なサプライチェーン構築に取り組むことにより、「丸紅なら安心」というステークホルダーからの信頼を醸成し、ビジネス機会の拡大を目指していきます。

サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針

サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針(2024年12月改訂)

  1. 丸紅グループは、自らがサステナビリティへの取り組みを強化するにとどまらず、そのサプライチェーンにおけるサステナビリティへの取り組み強化をサポートし、地球環境に配慮した健全で持続可能な社会の構築を目指してまいります。
  2. 丸紅グループは、次項の『サプライチェーンにおけるサステナビリティ・ガイドライン』を定め、取引先に対して、その順守に対する理解と協力を求め、取引先と共により実効性の高いサステナビリティへの取り組みを推進してまいります。また、同ガイドラインの浸透を図るためにコミュニケーションのみならず、取引先訪問の際に、必要に応じて助言、要請、指導や優良事例の共有を行うなど、取引先のキャパシティ・ビルディングに取り組みます。
  3. サプライチェーンにおけるサステナビリティ・ガイドライン
    1. 1)法令順守
      • 当該国および取引に関わる諸国の関連法令を順守する。
    2. 2)人権尊重
      • 人権を尊重し、差別・各種ハラスメント・虐待などの非人道的な扱いをしない。
      • 児童労働、強制労働を行わない。
      • 従業員の労働時間と休日・休暇を適切に管理し、過度な時間外労働を禁止する。
      • 法定最低賃金を遵守するとともに、生活賃金以上の支払いに配慮する。不当な賃金の減額を行わない。
      • 労使間協議の実現手段としての従業員の団結権および団体交渉権を尊重する。
    3. 3)環境保全
      • 気候変動問題の重要性を認識し、適切に対応する。
      • 自然環境を保護する。
      • 環境への負荷を低減し、汚染を防止する。
    4. 4)公正取引
      • 公正な取引を行い、自由な競争を阻害しない。
      • 贈賄や違法な献金を行わず、腐敗を防止する。
    5. 5)安全衛生
      • 職場の安全・衛生を確保し、労働環境を保全する。
    6. 6)品質管理
      • 商品やサービスの品質・安全性を確保する。
    7. 7)情報開示
      • 上記を含め、会社情報を適宜適切に開示する。
  4. 丸紅グループは、本方針を満たさないと判断した仕入先への対応手順を以下のとおり制定しています。
    1. (1)事実確認。また事実である場合、その背景および改善策の報告を要請する。状況に応じて仕入先を訪問し、対話を行い改善策について協議する。
    2. (2)改善策が不十分と判断される場合には、更なる施策実施を要請する。
    3. (3)上記(1)~(2)を実施してもなお、改善策が進捗しない状況が続く場合は、取引の継続可否を検討する。

『サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針』で定めている人権とは、憲法、労働基準法、世界人権宣言、ビジネスと人権に関する指導原則(国連)などで定める全ての基本的人権を含みます。また、ILO(国際労働機関)の国際労働基準に定められた均等雇用、強制労働や児童労働の禁止、結社の自由、団体労働交渉権の保障などにかかわる人権も含まれます。

『サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針』で定めている環境保全には、エネルギー使用、気候変動、水使用、生物多様性への影響、環境問題、汚染、廃棄物、資源利用への対応を含みます。

丸紅は継続的取引のある取引先※1に、『サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針』を伝達することで、同方針に対する理解と協力を頂くことを目指しています。
具体的には、同方針の改訂毎に、継続的取引のある全仕入先、及び新たに継続的取引を開始する仕入先に、手交、口頭説明、或いは送付等の方法で同方針への理解と協力を求める体制を構築しています。

1 継続的取引のある取引先には、グループ会社、仕入先、サービス提供会社、契約業者、製造委託先、JVパートナー、業務委託先を含みます。

サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針(PDF)

地域社会への貢献に関する方針

丸紅グループは、事業の実施・拡大には「地域社会への貢献」が必要不可欠であると認識しており、各国地域の経済社会基盤の整備・拡充に貢献する営業活動を行い、多彩な地域貢献活動や、事業活動を通じたコミュニティ投資を行う事で、地域社会の発展に貢献します。
具体的には、事業実施地域での雇用創出により富の不平等や現地での失業を改善し、物品やサービスの調達については可能な限り域内で行うことで、地域経済の活性化に貢献します。また、地域開発に向けてコミュニティと積極的に関わっていく事で、当社グループと地域が共に成長できる事業活動を展開していきます。

丸紅グループの取り組み

『サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針』を満たさない仕入先への対応

丸紅は、『サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針』を満たさない仕入先に対して、対応手順を定め、改善していただくように要請しています。2025年3月期には、本対応対象の取引先はありませんでした。

サプライチェーン・マネジメント 教育・研修

サプライチェーン・マネジメントを実践するために、丸紅は、役員・社員向けにサプライチェーン上の人権リスクなど、必要な知識を含むウェビナー研修を実施しています。今後も毎年、内容を更新して、教育・研修を継続していきます。

サプライヤーのキャパシティ・ビルディング

当社は、サプライヤーに「サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針」を周知し、環境・社会問題への理解を深めてもらうために、営業担当者がサプライヤーを訪問する際に、必要に応じて助言、要請、指導や優良事例の共有を行うなど、対話やコミュニケーションに加えて、サプライヤーのキャパシティ・ビルディングに取り組んでいます。
その一環として、当社はサプライヤーの従業員への環境・社会問題に関する研修機会を提供しています。研修は、当社のサステナビリティに対する取り組み状況や商材ごとに固有のサステナビリティ関連リスク、および対応事例等をウェビナー形式で共有することで、サプライヤーの従業員にとって環境・社会問題のいずれについても知識の発展や理解の向上に貢献できる内容となっています。
2024年3月期はコバルトを取り扱うサプライヤーの従業員が直接受講できるウェビナーを提供し、サプライヤーの従業員が受講しました。
当社は、今後も引続き、サプライヤーとのコミュニケーションや研修機会の提供などを通じ、持続可能で強靭なサプライチェーン構築に向けた努力を継続していきます。

サプライチェーンにおけるサステナビリティ評価手法の構築

持続可能で強靭なサプライチェーン構築のためのリスク管理の一環として、丸紅グループは、ビジネスのサステナビリティ面における潜在的リスク評価手法を構築しています。手法の構築にあたっては、専門的な知見を有する社外のコンサルタントを起用し、関連法令、国際基準、類似ビジネスにおける過去の事故事例なども参照し、リスク評価の基準を定めています。

具体的には、①各ビジネスの業種・業態、②各ビジネスが事業活動を行っている国・地域に応じて、「環境」「労働安全衛生」「社会」の3カテゴリによる各評価項目の潜在リスクの重要度評価を行います。重要度評価に際しては、各リスクの「規模」「範囲」「是正困難度」などにより、その影響度を判断します。このサステナビリティ評価手法は、連結子会社やサプライヤーに対するサステナビリティ調査、新規投資におけるリスク分析に導入しています。

各カテゴリのリスク評価項目
環境 気候変動/環境汚染/生物多様性/資源管理/対策・管理手順(環境)
労働安全衛生 機械安全/火災・爆発/有害物質との接触/感染/危険性のある作業/対策・管理手順(安全衛生)
社会 強制労働・人身取引/児童労働/労働時間/賃金・雇用契約/差別/ハラスメント・懲罰/多様性の尊重/結社の自由および団体交渉権/土地の問題/地域コミュニティへの負の社会的影響/先住民・文化遺産/紛争鉱物/プライバシー/アニマルウェルフェア(動物福祉)/責任あるマーケティング/対策・管理手順(社会)

連結子会社へのサステナビリティ調査

丸紅グループの世界各地の連結子会社は、その商品・サービスの提供先にとってのサプライチェーンの起点です。これらのビジネスの現場においてサステナブルな事業運営を担保することこそが、持続可能で強靭なサプライチェーン構築のためのファーストステップかつ非常に重要な要素であると位置づけ、2020年3月期から2021年3月期にかけて、連結子会社へのサステナビリティ調査を実施しました。丸紅グループの全連結子会社約400社を対象スコープとし、中でも潜在的リスクの詳細確認が必要と判断された約200社について調査を実施しています。これら200社に対しては、まず、サステナビリティ評価手法を用いて、各社の潜在リスクレベルの評価を行ったうえで、その業種特性等に即した潜在リスクレベルが一定以上の連結子会社に関しては現地訪問調査の候補とし、それ以外の連結子会社に関しては書面調査を実施しました。同調査においては、国内の連結子会社5社に対し、専門的な知見を有する社外のコンサルタントと共に訪問調査を行い、環境面、労働安全衛生面、社会面において事業が適切に運営されているか確認を行いました。今回の書面調査および訪問調査の結果、直ちに対応を要する問題事項は発見されませんでした。

その後も、上述の連結子会社に対するサステナビリティ調査のフォローアップとして、各社の事業態様の変化の有無など、リスク要因を継続的にモニタリングしています(連結子会社におけるサステナビリティ上の変化点管理調査)。本調査は、連結子会社が実施している事業・サービスにおいて、直近一年で一定の変化点が確認された場合に、これに応じた環境面、労働基準を含む労働安全衛生面、社会面の管理状況の拡充が十分になされているかを確認するものです。本調査を通じ、何らかの問題が発見された場合には、必要な改善措置について助言・勧告等を行い、管理改善を図っています。2025年3月期の本調査で変化点が認められた連結子会社10社については、それぞれ変化に応じた管理強化が行われており、直ちに追加的な措置を要する問題事項は発見されませんでした。

連結子会社へのサステナビリティ調査

過去の訪問調査の内容はこちら[23.8MB]

サプライヤー調査

「サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針」(以下、基本方針)のサステナビリティ・ガイドラインに従い、仕入先に対して丸紅関係者が直接、製造もしくは生産現場を訪問し、当社の基本方針に関する取り組み状況を調査しています。

現地訪問調査では、人権(児童労働、強制労働の防止等を含む)、法令遵守、公正取引、安全衛生、品質管理、環境、情報開示等の課題に対する当社基本方針を改めて説明、今後の協力への働きかけを行うと同時に、訪問先の地域特性やビジネスの実態にあわせて多面的な調査を行っています。調査の対象となる課題や調査方法については、第三者の意見も交えて見直しを行い、常に最新の動向を反映するように努めています。また、調査結果は訪問先にも報告し、今後の改善に役立てられるように情報を共有しています。環境・社会面を含めたサステナビリティに関連する訪問先の取り組みに関し、当社の規定に満たない事例、違反する事例、また負のインパクトが見込まれる事案が確認された場合には、課題をサプライヤーに共有したうえで改善に向けた働きかけを行うとともに、サプライヤー自身による積極的な報告と、影響削減に向けた取り組みを奨励し、サプライチェーン全体で環境・社会への影響低減に向けて取り組んでいます。

違反事項については、サプライヤーに対する改善活動を実施しています。サプライヤーへのトレーニングや啓発活動、支援、是正勧告などを行い、環境・社会面での対応を促します。これら活動を通しても改善が見られない場合には、サプライヤーに取引見直しの通告を行います。

2012年3月期から2019年3月期までに、累計で18社を訪問し、改善活動を実施しました。
2020年3月期から2022年3月期にかけては、新型コロナウイルス感染症の影響により、現地訪問調査を行いませんでしたが、2022年11月に再開、2023年3月期以降はサプライチェーン上でのサステナビリティ関連リスクが比較的高いと言われている商材を取り扱う生産現場8社を訪問し、調査、改善活動を実施しました(2012年3月期から2025年3月期までの累計:26社)。
当社は今後も環境・社会等サステナビリティの課題に対するサプライヤー研修の開催等を通じてサステナビリティ推進への理解の浸透に努め、サプライチェーン全体で環境、社会への負荷低減に向けた取り組みを推進し、持続可能で強靭なサプライチェーンの構築を目指してまいります。

サプライチェーンに向けた働きかけ

2022年3月期以降は、当社と直接お取引のあるサプライヤー(以下、Tier 1サプライヤー)に対する働きかけを行っています。具体的には、サステナビリティ面での潜在リスクが高い商材を中心に、サステナビリティ調査の対象を順次サプライチェーンへと拡大していく方針です。調査を通じて発見された事項については、サプライヤーの方々との協働により、管理体制の改善・向上を図ることを目指します。

2021年3月期~
2023年3月期
当社グループのTier 1サプライヤー約23,000社に向けて当社グループの考え方と方針を書面で改めて伝達し、ご理解とご協力をお願いしました。
2023年3月期 サステナビリティ面でのリスクが高い商材として特定した商材を中心に、Tier 1サプライヤーを対象にした調査・モニタリングに協力を依頼しました。
2024年3月期 食料関連サプライヤーおよびアパレル関連サプライヤーへの訪問調査を実施した結果、当社基本方針への重大な違反事項は発見されず、軽微な指摘事項については、サプライヤーにフィードバックし、改善に向けたエンゲージメントを実施しています。

商品別の取り組み

アニマルウェルフェアに配慮した畜産事業への取り組み

丸紅グループにおけるアニマルウェルフェアに対する考え方
  • 丸紅グループは、持続可能で強靭なサプライチェーンの構築、取引先との協働を通じて、ステークホルダーからの信頼を醸成し、ビジネス機会の拡大を目指しています。グループが実施する畜産事業において、人権や環境に加え、「アニマルウェルフェアへの配慮」が、生産性の向上や安全・安心な畜産物の生産に繋がるとともに、持続可能で強靭なサプライチェーンにとって重要であることを認識しています。
  • このような認識に基づき、今後も家畜の飼養管理に配慮した事業経営を継続すべく「アニマルウェルフェアポリシー」を策定しました。本ポリシーの策定によって、丸紅グループのアニマルウェルフェアに関する考え方を示すと共に、畜産関連のグループ会社とも連携しながら、各国法・ガイドラインに則って、アニマルウェルフェアの向上に繋がる取り組みを推進していきます。
アニマルウェルフェアポリシー
  • 丸紅グループは、家畜とのより良い共生関係の構築を目指すため、世界の動物衛生の向上を目的とする政府間機関である国際獣疫事務局(WOAH:World Organisation for Animal Health)がアニマルウェルフェアの指針として示した5つの自由の考え方を尊重のうえ取り組んでまいります。
  • 丸紅グループとしてアニマルウェルフェアに配慮した家畜の飼養につながる取り組みを積極的に検討・推進します。

5つの自由

  1. 飢え、渇きおよび栄養不良からの自由
  2. 恐怖および苦悩からの自由
  3. 物理的および熱の不快さからの自由
  4. 苦痛、傷害および疾病からの自由
  5. 通常の行動様式を発現する自由

丸紅グループは、今後とも各国法・ガイドラインに則り、サプライチェーンにおける人権や環境、アニマルウェルフェアに配慮した持続可能な生産・調達活動を推進してまいります。

アニマルウェルフェアと食の安全に関する具体的な取り組みはこちら

食肉(牛)における丸紅グループの取り組み

Creekstone

丸紅グループでは、世界各国で増加する高品質な牛肉のニーズに応えるべく、食の安全性確保を重要視した牛肉の調達を行っています。

輸入牛肉については北米・豪州・南米など世界の牛肉産地から、品質、生産工程および衛生管理のみならず、生体牛の出荷農場までトレースが可能な牛肉の取り扱いを前提として、供給業者を選定しています。

グループの牛肉関連事業としては、米国で牛肉の処理加工事業を行うCreekstone Farms Premium Beef LLC (以下、Creekstone)において、高品質かつサステナビリティに配慮した、プレミアムビーフの生産・処理加工・販売をしています。

方針

丸紅グループは、食の安全性の追求、高品質かつサステナビリティに配慮したプレミアムビーフの取扱拡大を目指し、以下方針の通り取り組みます。

ブラックアンガス牛(Creekstone写真提供)

1. トレーサビリティの確保
グループの牛肉関連事業では、肥育場の牛群までのトレーサビリティを確保します。また輸入牛肉についても、農場・肥育場の牛群までのトレーサビリティを目指します。

2. 環境負荷低減への取り組み
グループの牛肉関連事業では、事業が環境に及ぼす影響を定期的に確認し環境負荷低減を目指します。

3. アニマルウェルフェアと食の安全に関する取り組み
自社牛肉の生産にあたっては、食の安全性確保に加え、アニマルウェルフェアに配慮した事業運営を行います。

ブラックアンガス牛(Creekstone写真提供)
Creekstoneにおける取り組み事例

1. トレーサビリティの確保に向けた取り組み

グループの牛肉関連事業で調達する生体牛について、Creekstoneでは肥育場の牛群までのトレーサビリティを確保しております。また、当社が買付ける輸入牛肉については、出荷農場、もしくは肥育場の牛群までのトレーサビリティ確保を目指します。

出荷頭数とトレーサビリティ

2020年 2021年 2022年 2023年 2024年
頭数 447,573 489,408 525,296 512,054 505,983
トレーサビリティ:肥育場の牛群まで 100% 100% 100% 100% 100%

牛肉(穀物肥育)のサプライチェーン図

牛肉のサプライチェーン図

2. 環境負荷低減に向けた取り組み

自然環境への影響を軽減すべく、以下の通り細心の注意を払っています。

  • 加工場と配送センターでは、限られた天然資源を節約するために、エネルギー効率の高いLED照明と水の再利用・再調整システムを導入しています。
  • 包装材については、使い捨てプラスチックやリサイクル不可能な素材を削減し、再生可能な素材に置き換えるための改善を重ねています。
  • 工場の排水を再利用し生体牛係留場の洗浄水にするなど取水量削減に取り組んでいます。

事業を通じ継続して環境負荷低減の取り組みを進めてまいります。

3. アニマルウェルフェアと食の安全に関するその他の取り組み

Creekstoneでは、すべての工程において、家畜を安全かつ人道的な動物の取り扱いができるよう設計されています。2010年から輸送中および施設内にいる間の生きた牛の世話と福祉を網羅する人道的動物取扱プログラムを実施しています。

Creekstoneの生体牛係留施設は、米国における動物福祉の第一人者であるテンプル・グランディン博士の意見を参考に生体牛のストレスを軽減する設計とした、米国ではまれな屋内型の係留施設です。直射日光を避け施設内温度を一定に保つ効果が期待され、外壁を設けることで外部ストレスの少ない環境を保持することが可能です。屋内型の係留施設では、適切な換気と温度管理が行われ、どのような天候でも牛が快適に過ごすことが出来ます。

これらのプログラムは、Professional Animal Auditor Certification Organization(PAACO)の訓練を受け、最高度の人道的取り扱いに関する知識と理解を得た品質保証(QA)スタッフによって監視されています。また、すべての施設の品質保証管理者は、年2回、Beef Quality Assurance(BQA)の認定を受けています。

Creekstoneでは、業務上生体牛と関わりのある全社員がアニマルウェルフェアに配慮した業務を行えるよう、Intertek Alchemy社とNorth American Meat Instituteが動物取扱者のために特別にデザインしたアニマルウェルフェアに関する一連の研修を年に一度、e-Learningにて実施しています。

“Creekstone Natural Black Angus Beef”という成長ホルモン剤、抗生物質、動物由来飼料を一切使用せずに育てた牛肉を提供するUSDA(アメリカ農務省)認証プログラムを設け、市場のニーズに対応しています。当プログラムは、第三者認証機関であるHFAC(Humane Farm Animal Care※2)より、2015年9月から“Certified Humane”認証を取得しています。

2 Humane Farm Animal Care: 米国の動物愛護基準に基づいて飼育された肉、乳製品、卵、家禽の認証、およびラベル付けプログラム“Certified Humane Raised&Handled”を促進・管理するために設立された非営利団体

4. その他 地域社会での取り組み

Creekstoneはカンザス州アーカンザスシティ最大の雇用主であり、地域社会とそこに住み働く家族に大きな経済効果をもたらしています。アニマルウェルフェア、労働者の安全、食品の安全性、トレーサビリティ、製品の品質という礎のうえに事業が成り立っており、お客様や消費者が、商品についてより理解できるよう努めています。

  • Creekstoneの自動化された配送センターでは、怪我や労働力、人的ミスを大幅に削減し、効率を向上させ、より一貫した製品品質と正確な注文処理を行っています。
  • 加工場の近くにWalnut Valley Learning Centerを設立し、100人以上の従業員の子供たちに保育所を提供しています。
  • 地元の学校と家族、そして飢餓救済と貧困に焦点を当てた多くの地元団体に寄付し、支援しています。
  • 米国内全国規模で、さまざまな災害救済、飢餓救済、退役軍人支援プログラムを支援しています。

Creekstone Farms Premium Beef LLCのHPはこちら

環境に配慮した水産物調達の取り組み

丸紅グループでは、水産資源と環境に配慮して獲られた天然の水産物の証であるMSC認証※3、および責任ある養殖により生産された水産物の証であるASC認証※4・BAP認証※5を受けた水産物の調達に取り組んでいます。
事業会社での認証水産物の取扱い状況は以下の通りです。

水産物調達パフォーマンスデータ

Danish Salmon A/S 陸上養殖サーモン水揚げ数量とASC認証取得比率

2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
水揚げ数量(トン) 1,100 867 938 1,364 1,928
ASC認証取得比率 100% 100% 100% 100% 100%

Eastern Fish Company 仕入数量におけるMSC、ASC、BAP認証取得比率

2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
仕入数量(トン) 37,853 40,354 32,996 33,839 29,015
認証取得数量(トン) 28,596 29,544 26,967 30,149 22,951
認証取得比率 76% 73% 82% 89% 79%

3 MSC:Marine Stewardship Council(海洋管理協議会)によって運営されている、世界の水産資源を守るための持続可能な漁業に対する認証制度。

4 ASC:Aquaculture Stewardship Council(水産養殖管理協議会)によって運営されている、環境と社会に配慮して生産された責任ある養殖水産物に対する国際的な認証制度。

5 BAP(Best Aquaculture Practices):世界水産物連盟(Global Seafood Alliance)によって運営されている、環境と社会に配慮して生産された責任ある養殖水産物に関する国際的な認証制度。

天然ゴムにおける丸紅グループの取り組み

丸紅グループでは当社連結子会社の丸紅テクノラバー株式会社を中心に天然ゴムのトレーディング事業を行っており、天然ゴム調達方針を策定しています。
調達方針に従った天然ゴムサプライヤーの訪問調査等を通じて、トレーサビリティの確保に努め、天然ゴムの持続可能な調達を推進しています。

丸紅テクノラバー株式会社の天然ゴム調達方針はこちら

繊維原料・製品における丸紅グループの取り組み

近年、世界のファッション市場においてサステナビリティの潮流が浸透しつつあり、生産者から消費者に至るまで、その意識は向上しています。
こうした背景を受け、サステナビリティに資する取り組みの一つとして、丸紅は環境配慮型繊維事業の拡大に取り組んでいます。

「MALOOP PROJECT」の取り組み
MALOOP PROJECT

2024年に始動した「MALOOP PROJECT」にて、繊維業界の持続可能な発展を目指し、環境配慮型ビジネスに取り組んでいます。Circ社の技術を活用した繊維リサイクル事業をはじめとして、陸地に廃棄されて将来的に海へ流出する恐れのあるプラスチックごみであるOBP(Ocean Bound Plastic)の再原料化や離島におけるペットボトルの有効活用等、環境に貢献する取り組みを事業投資やトレードを通じて推進していきます。

「MALOOP PROJECT」に関する取り組みはこちら

Circ社の技術を活用した繊維リサイクル事業

2019年に出資した米国Circ社の繊維リサイクル技術を活用し、綿・ポリエステル製品から再生したポリエステル原料、セルロース繊維原料の供給を2023年度から開始しました。同取り組みについては丸紅の有するグローバルネットワークとの掛け合わせにより、再生繊維原料供給にとどまらず、米州・欧州、そして今後の有望な市場であるアジアにおいて、グローバルな循環型サプライチェーンの構築を目標として取り組んでいきます。

Circ社における詳しい取り組みはこちら

オーガニックコットン調達

丸紅は、インドの紡績企業と提携し、オーガニック綿糸を織・編工場に供給しています。
同社は、有機認証を持つ農地、ジニング(綿花の収穫後に種と繊維を切り離す作業)工場を選定し、GOTS認証を取得した原綿を仕入れており、同社もまたGOTS認証を取得していることから、当社が取り扱うオーガニックコットンは100%トレーサブルとなっています。当社はこのオーガニックコットンの安定的な調達と供給を引き続き行っていきます。

オーガニックコットン調達パフォーマンスデータ

  2022年度 2023年度 2024年度
OGC取扱量(トン) 772 404 1,501
綿取引全体に占める割合 15.2% 5.6% 17.7%
トレーサビリティ 100% 100% 100%
GOTS認証 100% 100% 100%

ベトナムにおけるステークホルダーエンゲージメント

2023年12月、丸紅とSIMEXCO DAKLAK LTD. (以下、SIMEXCO)は、両社が携わるコーヒー豆サプライチェーンの更なる価値向上を目指し、ESGの観点から双方の取り組みについてステークホルダーエンゲージメントをベトナムで実施しました。営業部に加え、両社のサステナビリティ担当部も参加し、これまでの取り組みへの相互理解を深めるとともに、温室効果ガスの排出削減等の気候変動・環境課題、強制労働及び児童労働の排除や労働安全衛生及び労働者の基本的権利確保等の国際的に顕著な社会・人権課題への対策の重要性を確認し、今後の注力事項などについて議論しました。

当社とSIMEXCOは、生産現場である農園や工場その他の生産段階で関わるすべての農家や従事者の方々も同じバリューチェーンに携わる重要なステークホルダーであると認識しています。今回も、上述のエンゲージメントに先立ち、実際に農園と工場に赴き、従事者の方々と直接対話を行いました。SIMEXCOは、こういったステークホルダーとの対話から得たニーズも踏まえ、例えば医療物資や作業服などの提供等、生活水準やウェルビーイングの向上に貢献できる支援も行っています。

当社は、今後もSIMEXCOと連携し、持続可能かつエシカルなコーヒーのバリューチェーン構築に取り組んでいきます。

その他の丸紅グループにおける取り組み

<丸紅プラックスでの取り組み>

丸紅グループでは当社連結子会社の丸紅プラックス株式会社を中心に、これまで廃棄物として処理されてきた「海洋残渣」「農業残渣」などを高付加価値製品として再生する取り組みを2024年より開始しました。

第一弾プロジェクトとしてホタテ貝殻を活用した環境配慮型プラスチック袋の製造を開始します(年間生産数量:30トン)。

今後も各地域の特性に合わせた未利用資源の活用方法を模索し、環境保護と地域活性化の両立を図ってまいります。

イニシアティブへの参加

Sedex

丸紅の子会社であるイグアス社、丸紅食料株式会社は、コーヒーを中心とした飲料原料の取引について、「Sedex」※6のプラットフォームに参加し、サプライチェーンにおいて、取引先と「人権の尊重」「労働安全衛生」「環境負荷の低減」「品質保証」等について協働しています。

6 Sedex:グローバルサプライチェーンの労働条件の改善に取り組む、世界的なコラボレーションプラットフォーム。

EcoVadis

丸紅米国会社、丸紅欧州会社、丸紅欧州会社傘下のMarubeni International (Europe) GmbH、丸紅株式会社傘下の子会社(丸紅インテックス株式会社・丸紅テクノラバー株式会社・丸紅テクノシステム株式会社)では、「EcoVadis」※7に加盟しています。
EcoVadisが定める4つのテーマ(環境、労働と人権、倫理、持続可能な資材調達)に関するパフォーマンス評価に基づく改善の推進を通じて、責任ある事業慣行の拡大を目指しています。

7 EcoVadis:企業の社会的責任(CSR)評価サービスを提供する、グローバルなクラウドベースのSaaSプラットフォーム。

RSPO

パーム油の持続可能な調達をするべく、丸紅株式会社は2015年よりRSPOに加盟し、認証油の取り扱いに努めております。

ISCC認証(国際持続可能性カーボン認証。International Sustainability & Carbon Certification)

丸紅株式会社、丸紅米国会社、丸紅欧州会社、丸紅アセアン会社、丸紅プラックス株式会社、丸紅ペトロリアム株式会社、Marubeni Energy Europe Limited(以下、当社グループ7社)は、温室効果ガス削減、持続可能な土地利用、生物多様性の保護、社会持続性向上等に配慮した、サプライチェーンにおけるバイオマス(燃料、農産品、森林原料、廃棄物および残渣、非生物バイオマスおよびリサイクルカーボン材料)の持続可能な生産を促進する認証であるISCC認証を取得しています。
当社グループ7社は、ISCCの最新の規定に則り、ISCC要求事項に準拠することを約束し宣言します。

丸紅株式会社